Kさま邸
リノベーション物語
第三章
家の中を空っぽにして部屋と動線をつくり変える

リノベーションのプランが決まり、いよいよ工事が始まります。
まずはガスメーターや電気メーターを撤去し、水道を一次的に停止したり、エアコンや照明を取り外したりといった解体準備を進めていきます。
それらが完了したら本格的な解体が始まるのですが、リノベーションの内容や建物の状態に応じて手順が異なってきます。
今回のプランでは、サニタリーと階段こそ同じ位置のままですが、玄関とLDKは大移動するし動線も大きく変わるため、壁や床、天井まで全部解体して内部をスケルトン状態にするところから始めます。


解体と聞くと、大きな機械でバリバリ壊していくイメージがあるかもしれませんが、実際の解体現場ではバールやハンマー、丸ノコ、小型チェーンソーといった比較的小さな道具が大活躍。
なぜなら大きな機械で勢いよく壊してしまうと、残しておくべき部材にも不要な力がかかって傷んでしまうからです。
なので、慎重に手作業で行っていきます。

作業が進むと見えてくるのが床下や天井、壁の内部の状態。
水道やガスの配管や、壁の中に入っているケーブルの類いなど、なかなか見られないものを見ることができる貴重な機会でもあります。
柱や梁には当時の大工さんたちが付けた墨が残されているものがあったり、木材を刻んだ仕口を見ることができたり、建てた職人たちの気配を感じられる瞬間です。
Kさま邸の場合、建物の設計図が残っていたため、図面との差異がないかどうか確認しながら、梁や柱、根太の状態や、電気や水道、ガスの配管状況など、隅々までチェックしていきました。
実は建物に設計図通りになっていない部分があることは、それほど珍しいことでもありません。 それには現場での調整や設計変更といった理由が考えられ、“リノベーションは解体してみないとわからない”というのはそういうところも関係しています。


スケルトン状態にしていきながら、その上で傷んでいるところがあれば補修して、後の仕上げに支障が出そうなところはしっかり調整。
この辺りをきちんと対処するかしないかで、仕上がりのクオリティや、後の耐久性に大きな差が出てきます。
構造材や下地は内装が終わると隠れてしまうので、ほんの少しくらいの不具合なら見なかったことにして次の工程に進むこともできなくはありません。
でも青木住巧の大工たちには絶対にあり得ないこと。
プロの職人として、一つひとつの工程に一切の妥協なく仕事を進めていきます。
必要な柱を立てて下地を打って、いよいよ新しい間取りが姿を現しましたが、まだまだ木材が剥き出しで、完成した様子を想像することは難しい状態です。
ここで一旦内部の作業を終え、次は減築に伴う屋根の掛け替えに入ります。
次回は屋根工事がどのように進められたのかご報告していこうと思います。

